③理解する力 … 違いを「間違い」にしない
「なんでそうなるの?」と思った日
まず、私の話をさせてください。
ある日、出勤した夫からLINEが来ました。「駅前の駐車場にとめた僕の車の窓が、開けっぱなしになってるかもしれないから、見に行って欲しい」。夫は家から最寄り駅まで車で行き、電車で通勤しています。
私の頭の中は「??」でいっぱいでした。開いていたとしても、私はスペアキーを持っていないので、結局何もできません。なんで見に行くのを頼んでくるんだろう…と考えているうちに、気づいたことがあります。私と夫では、感じ方が違うんです。
私は、こういうときは「なるようにしかならん」と諦めが早いタイプです。でも夫は、窓が開いているのかどうか一日中モヤモヤするのが嫌で、ハッキリさせたくてLINEをしてきたんだろうと思います。私にとってはムダと感じることでも、夫にとっては意味があることなんです。そう気づいたら、気持ちがすっと落ち着きました。
ちなみにその日は、子どもを学校に送ったついでに見に行こうと思って、結局行き忘れました。夫、ゴメン。
人それぞれに「感じ方のクセ」があります
夫婦でも、お見合いで出会ったばかりの二人でも、人にはそれぞれ、感じ方のクセがあります。私の相談室では、これを2つの軸で見ています。
ひとつは、情報の処理の仕方です。物事を論理や言葉で整理するのが得意な人と、感覚やイメージで捉えるのが得意な人がいます。優劣ではなく、使う筋肉の違いです。
もうひとつは、エネルギーの充電方法です。ひとりの時間で充電する人と、人と関わることで充電する人がいます。これも社交性があるかないかの話ではなく、どのコンセントで充電できるかの違いなんです。
この2つの軸を組み合わせると、人の感じ方はおおまかに4つのタイプに分けられます。私のホームページに、自分のタイプがわかる4タイプ診断のページがあるので、よかったら試してみてください。
タイプは、責める道具じゃなくて、理解する道具
ここで、とても大事な注意をお伝えします。タイプ分けは、使い方を間違えると、人にレッテルを貼る道具になってしまいます。
「あの人は◯◯タイプだから、こうに決まってる」と断定する。「このタイプとは合わない」と会う前に切り捨てる。これは、いちばん残念な使い方です。人はグラデーションで、タイプはあくまで仮説です。そもそも「このタイプだから合わない」と切ってしまうのは、第1部でお伝えした「選ばない」と真逆の使い方になってしまいます。タイプの組み合わせに優劣はなく、どの組み合わせにも、違いの活かし方があります。
正しい使い方は、こうです。相手の理解できない行動に出会ったとき、「もしかして、この人はこういう感じ方をする人なのかも」という動機の仮説を持つ。仮説はただのキャッチボールなので、外れていたら投げ直せばいいだけです。仮説を持てるようになると、「なんでそうなるの?」のイライラが、すっと落ち着いていきます。
タイプは、相手を責める道具じゃなくて、理解する道具なんです。
診断のゴールは、相手を解読することではありません
もうひとつ、この道具のいちばん大事な話をします。
診断は、相手を解読して攻略するための道具ではありません。1-3でお伝えした「相手は、そもそも自分とは違う存在」ということを、実感として思い出すための道具です。
理解できなくても、いいんです。「この人は、私の理解できない価値観を持っているんだな」「私の感覚も、相手の感覚も、両方正しいんだな」。そう思える、自分の向き合う姿勢を整えるために、タイプという道具を使ってほしいんです。
道具を持っていると、モヤッとした瞬間が変わります
車の窓事件から時間がたった、最近の話です。
夫婦で北海道旅行に行くことになりました。夫は単身赴任先の北海道にいるので、飛行機の予約は別々に取ることになり、同じ便の隣どうしの席を、二人でめちゃくちゃ確認しながら予約しました。「これで取れてるね」という確認も済ませました。
その2週間後、夫からLINEが来ました。「この飛行機のこの便のこの座席で取れてるか、本当に取れてるか確認したい」。
心の中では「いや、予約するとき、もうめちゃくちゃ確認したやん…」と思いましたし、正直、面倒くさくも感じました。でも今回は、イライラが残りませんでした。夫の性質を知っていたからです。
この人は、何回も確認したくなる人なんだな。間違いを消したいというより、不安な気持ちを解消するために行動したいんだな。私にはちょっと理解不能だけど、彼はそうなんだ。そう受け取って、もう一度アプリを開いてスクショを撮り、「確かにこの便のこの席が取れてますよ」と送り返しました。
相手を変えていませんし、私が我慢したわけでもありません。見え方が変わっただけです。道具を持っているというのは、こういうことなんです。
違いは、理解の入り口です
1-3で、違いに出会った瞬間が分かれ道だとお伝えしました。理解する力は、その分かれ道で「理解の入り口」の側に進むための、具体的な道具です。
お相手の行動にモヤッとした瞬間が、「この人はどういう景色を見ているんだろう?」という興味に変わっていく。モヤモヤが、相手を深く知る入り口に変わる。道具を持つと、婚活の景色も、結婚生活の景色も、そんなふうに変わっていきます。
この章のまとめ
- 人にはそれぞれ感じ方のクセがあります。優劣ではなく、違いです
- 自分にとってはムダに見えることでも、相手にとっては意味があることがあります
- タイプは、責める道具ではなく、理解する道具です。断定せず、仮説として使います
- 診断のゴールは相手の解読ではありません。「両方正しい」と思える自分の姿勢を整えるためのものです
- 道具を持つと、相手を変えなくても、我慢しなくても、見え方が変わります
- 「このタイプだから合わない」と切るのは真逆の使い方です。どの組み合わせにも活かし方があります
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