②深掘り力 … 表面で切らない
「なんか違う」で終わっていませんか
🤔「いい人なんですけど、なんか違う気がして…」
お見合いや初デートのあと、こう言ってお断りする方は本当に多いんです。会話はした。感じも悪くなかった。でも、なんか違う。この章では、その「なんか違う」の正体を一緒に見にいきます。
人は、行動ひとつで相手を決めてしまいます
たとえば、初デートの会計で割り勘にされたとします。「この人、ケチかもしれない」。返信が短ければ「私に興味がないのかな」。転職が多いと聞けば「飽きっぽい人なのかな」。
私たちは、たったひとつの行動から、その人がどんな人かを30秒で決めてしまいます。これは冷たい人だけがやることではなく、人間の脳のしくみです。人はいいことより悪いことを先に、強く見るようにできています。危険から身を守るためです。だから、あなたが悪いわけではありません。
でも、思い出してみてほしいんです。あなた自身も、行動ひとつで誤解されたことはありませんか。「本当の私は、そうじゃないのに」と悔しくなった経験です。あの行動には事情があったのに、そこまでは見てもらえなかった。それと同じことを、私たちも相手にしているんです。
「もったいないすれ違い」が起きています
割り勘の場面を、両側から見てみます。
割り勘にした側には、その人なりの理由があります。対等な関係でいたいと考えた人もいれば、過去の経験から慎重になっている人もいます。一方、割り勘にされた側のモヤモヤの奥には「大事にされていると感じたい」という願いがあります。
ところが、お互いに行動の表面しか見ないとどうなるか。片方は「ケチな人」、もう片方は「お金にがめつい人」という印象のまま、終わります。どちらも本当の姿ではないのに、そこで関係が終わってしまう。私はこれをもったいないすれ違いと呼んでいます。
モヤっとは、切るサインじゃなく、掘るサイン
深掘り力とは、相手の行動の裏にある価値観と、その価値観を作った出来事まで降りていく力です。
行動の表面で「合わない」と決めるのではなく、一段ずつ降りてみます。この人はなぜそうしたんだろう(価値観)。その考え方は、どんな経験から生まれたんだろう(出来事)。行動の奥には、必ずその人の物語があります。
だから、お相手にモヤっとした瞬間は、関係を切るサインではありません。そこにその人の物語が埋まっているという、掘るサインなんです。
「もしかして」を3つ考えて、本人に聞いてみる
やり方は、シンプルです。
まず、事実と解釈を分けます。「割り勘にされた」が事実で、「ケチだ」は解釈です。頭に最初に浮かぶ解釈は、たいてい悪いほうに偏っているので、いったん脇に置きます。
次に、「もしかして」で仮説を3つ考えてみます。もしかして、対等でいたかったのかな。もしかして、緊張して余裕がなかったのかな。もしかして、何か考えがあるのかな。3つ考えるうちに、決めつけがゆるんでいきます。
そして、いちばん大事なのは、仮説のままで終わらせないことです。本人に聞いて確かめます。「どうしてそうしようと思ったの?」と、責めるためではなく、知りたいから聞く。これは尋問ではなく、相手の世界への関心です。聞いてみると、想像もしなかった物語が出てくることが、本当に多いんです。
深掘り力は、自分にも使えます
5つの力の中で、深掘り力だけは、相手だけでなく自分にも向けられる力です。
お相手にモヤっとしたとき、自分の心も掘ってみます。私はなぜモヤっとしたんだろう。奢ってほしかったから…いえ、もっと奥があります。「大事にされていると感じたかった」。ここまで降りると、欲しかったのはお金ではなく、大事にされている実感だったとわかります。
この、モヤっとの奥で見つかる本当の願いは、第1部でお伝えした「どうありたいか」につながる大事な材料になります。そして、見つけた願いをお相手にどう渡すかは、④伝える力の章でお伝えします。
解像度が上がると、会うのが面白くなります
ここまで読んで「そこまでするのは大変そう」と感じた方もいると思います。でも、深掘り力は我慢や努力の話ではないんです。
私はお見合いを、こんなふうに考えています。世の中には見たこともないいろんなポケモンが存在していて、それぞれに特技や願いやストーリーを持って、今も人生を一生懸命生きています。そのポケモンの人生と私の人生が1時間だけ交差している、貴重な時間がお見合いです。解像度の高い、詳しいポケモン図鑑を作って、最終的にいちばんお気に入りの1匹と冒険に出たい。そう思ったら、お相手に興味が湧いてきませんか。
解像度が上がると、切る理由が減ります。それだけではなく、人に会うこと自体が、だんだん面白くなってくるんです。
この章のまとめ
- 私たちは行動ひとつで相手を決めてしまいます。そして自分も、同じように誤解されてきました
- 行動の奥には価値観があり、価値観の奥には、それを作った出来事と物語があります
- モヤっとは、切るサインではなく、掘るサインです
- 事実と解釈を分けて、「もしかして」を3つ。そして本人に聞いて確かめます
- 自分のモヤっとを掘ると「本当の願い」が見つかります。それは④伝える力で渡す材料になります
- 解像度が上がると、切る理由が減って、人に会うのが面白くなります
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