第3部 歩み方編 信頼結婚の教科書|3-3

仮交際で信頼を積む

お見合いから先に進むと、仮交際という期間に入ります。何度か会いながら、お互いを知っていく期間です。信頼結婚メソッドがいちばん力を発揮するのは、この期間です。この章では、仮交際の歩き方を、デート・連絡・心の持ち方の順にお伝えします。

仮交際は、恋愛の期間ではありません

最初に、いちばん大事な心構えからお伝えします。仮交際は、恋愛をする期間ではありません。むしろ、恋愛はしないでくださいとお願いしています。

「えっ、婚活なのに?」と思いますよね。仮交際でやることは、ドキドキすることでも、好きかどうかを自分に問い詰めることでもありません。目の前の人と、人と人として仲良くなることです。この人となら何でも話せるな、と思えるくらい、親友のような関係を育てること。それが仮交際の目的です。

好きかどうかの判定は、いりません。1-4でお伝えしたとおり、「いいな」は探して見つけるものではなく、関係の中で育つものだからです。仲良くなった先に、自然とついてきます。

「裁判官モード」に気をつけてください

仮交際に入ると、心の中に小さな裁判官が現れやすくなります。

約束の時間ぴったりに電話がかかってこなかった。返信が翌日になった。食べ方がちょっと気になった。そのたびに「ルーズな人だ」「合わないかも」と判定を下してしまう。真剣だからこそ、この裁判官モードには誰でも入ります。

でも、思い出してください。2-2でお伝えしたとおり、モヤっとは切るサインではなく、掘るサインです。行動には、その人なりの理由があります。まだ深く知らない段階の小さなことで交際を終了するのは、ダイヤモンドの原石を捨てているのと同じなんです。

だから私の相談室では、仮交際もこちらからは基本的に断らないようにお願いしています。もちろん、お泊まり旅行に誘われたなど、明らかなルール違反があれば別です。何でも受け入れる話ではありません。でも「なんか気に入らない」「未来が見えない」で断るのは、やめてほしいんです。仲良くなる前に、未来なんて見えるはずがないんですから。

デートは、カフェと散歩で十分です

デートの場所は、カフェと、公園の散歩で十分です。むしろ、それがいちばんいいんです。遊園地・水族館・映画館のようなエンタメ施設は、あとのお楽しみに取っておいてください。

理由は、エンタメ施設は「場所の力」が強いからです。あそこは、誰と行っても楽しい場所なんですよね。絶叫マシンで盛り上がって「今日、楽しかったね!」と笑い合っても、その「楽しかった」の正体が、お相手との関係なのか場所の魔法なのか、わからなくなってしまいます。映画館にいたっては、2時間スクリーンを見つめて会話はゼロです。

結婚生活は、イベントの連続ではありません。ごはんを食べながら、今日あったことをぽつぽつ話す。その積み重ねでできています。だから仮交際で育てたいのは「一緒にイベントを楽しむ力」ではなく、何でもない会話を心地よく重ねる力なんです。

カフェは、静かで、向かい合って話せて、時間もゆるやかです。2-1と2-2でお伝えした聞く力と深掘り力を使って、お相手の過去・現在・未来の物語を聴いていく。私はこれを人生インタビューと呼んでいます。散歩もいいですよ。横並びで歩くと、向かい合うより不思議と話しやすくて、沈黙になっても景色があるから気まずくないんです。

もうひとつ、この期間はお酒も控えることをおすすめしています。結婚生活は、お酒を飲んでいる時間よりシラフの時間のほうが圧倒的に長いからです。シラフで一緒にいて心地いい関係を、先に育ててください。

連絡は、LINEより「毎日の電話」で

仮交際中の連絡について、私のおすすめははっきりしています。LINEは業務連絡、気持ちのやり取りは毎日の電話でです。

文字情報では、感情がほとんど伝わりません。スタンプで「おはよう」と送っても、スタンプの絵柄がかわいいだけで、本人の感情はわからないですよね。声には、その日の元気も、疲れも、嬉しさも乗ります。だから感情のやり取りは、ごまかしのきかない電話でしてほしいんです。

長電話はいりません。5分でいいんです。私も再婚活のとき、こうお願いしました。「もしも結婚したら毎日会って会話するわけだし、一日一回『お疲れ様』くらいは電話で声で言いたいんだけど、どうかな? 5分だけでもいいし」。毎日5分の電話を1週間も続けると、もう友達みたいな距離感になります。次のデートが「2回目に会う人」ではなく「いつも話している人」との時間になるんです。

逆に、やめてほしいことがひとつあります。気持ちのすれ違いやモヤモヤした話を、LINEの文章で送ることです。文章は永遠に残って、見返すたびに嫌な気持ちがよみがえります。書き方ひとつでニュアンスも変わってしまいます。大事な話ほど、声でしてください。

デート代にモヤッとしたら…2-2の出番です

仮交際でよくあるのが、デート代のモヤモヤです。割り勘にされて「大事にされていないのかな」と心が冷めそうになる場面ですね。

ここは、まさに深掘り力の出番です。割り勘の裏には「対等なパートナーでいたかった」「自立した女性へのリスペクトのつもりだった」「過去に値踏みされて傷ついた経験があった」など、その人なりの物語が本当にあるんです。表面の行動で切らずに、感謝を伝えたうえで、気持ちと質問を渡してみてください。モヤモヤは、ふたりの話し合いのはじまりにできます。

この章のまとめ

  • 仮交際は恋愛の期間ではありません。人と人として、親友のように仲良くなる期間です
  • 心の中の裁判官に気をつけて、小さなことでの交際終了はしません。原石を捨てないでください
  • デートはカフェと散歩で。場所の力に頼らず、人生インタビューで物語を聴き合います
  • 連絡はLINEより毎日5分の電話で。感情は声で伝わります。モヤモヤした話を文章で送るのは禁物です
  • デート代のモヤモヤは、掘るチャンスです。感謝+気持ち+質問で話し合いに変えられます

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